
果たしてFacebookは承認欲求なのか
いろいろなところで、「FacebookをはじめとするSNSは、承認欲求を満たしている」というような記事をよく見かけるようになったが、一概に承認欲求と言ってしまってよいものか。実はいろんなパターンがあるんじゃないか。
ということで、ちゃんと調べ、考えてみた。
そもそも欲求とは
スティーブン・リース博士によると、人間には16コの基本的欲求があるという。
(参考文献:本当に欲しいものを知りなさい―究極の自分探しができる16の欲求プロフィール)
- 力 :他人を支配したい
- 独立 :人に頼らず自力でやりたい
- 好奇心 :知識を得たい
- 承認 :人に認められたい
- 秩序 :ものごとをきちんとしたい
- 貯蔵 :ものを集めたい
- 誇り :人としての誇りを求める
- 理想 :社会主義を追求したい
- 交流 :人とふれあいたい
- 家族 :自分の子供を育てたい
- 地位 :名声を得たい
- 競争 :競争したい、仕返ししたい
- ロマンス:セックスや美しいものを求める
- 食 :ものを食べたい
- 運動 :体を動かしたい
- 安心 :心穏やかでいたい
人間の欲求は、突き詰めればこの16個に分類されるとしている。
承認についての考察
さて、ここからが本題。
承認欲求という単語を見ると、「誰かから認められたい」ということだと考えがちだが
スティーブン・リースの16の基本的欲求に照らし合わせると、以下に分類できるのではないだろうか。
- 承認 :人に認められたい
- 貯蔵 :ものを集めたい
- 交流 :人とふれあいたい
- 地位 :名声を得たい
- 競争 :競争したい、仕返ししたい
承認欲求
ひとことで言えば、「人に認められたいという欲求」なのだが、もっと詳しくいうと
「自分に自信が持てなくて、臆病で、批判されたり拒絶されたりすることに敏感で。だから人に認められたい」という欲求である。
つまり、「こんなオレってイケてるっしょ」みたいな自信家は該当しない欲求なのである。
極端に言えば、該当するのは「SNSかまってちゃんタイプ」
承認欲求とは、とりあえずいろいろ投稿して、いいねしてもらうことで見られている感。認められた感。ひとりじゃない感を感じたいタイプに対して使う用語なのである。
貯蔵欲求
ものを集めたい欲求。所有欲も物欲も貯金も。コレクターにかぎらず、ケチも該当する。
内容はどうあれ「いいね」の数を集めたい。誰からされたかは関係なく、集まったいいね数に対して満足感を得るような場合は、貯蔵欲求を求めているということがいえる。
交流欲求
ひとと触れ合いたい。遊びたいいう欲求。ひとりでいることがあまり好きではなく、常に誰かと一緒にいたい人が該当する。
Facebookでいえば、コメント欄に書き込んだり、書いてくれたコメントにさらにコメントで返答するようなシーンだろう。承認欲求と違う点としては、それなりに自分に自信がある、もしくは相手と対等な立場であることか。飛躍して考えると、相手にこだわりは少なく、返答してくれない人がいてもそれにショックを受けることなく、別の誰かと交流していればそれで満たされる場合が想像できる。
地位欲求
名声を得たい、注目されたいという欲求。
注目を集めたいことが一番なので、その内容についての執着が少ないことも特徴。つまり、自分が気に入ったかどうかよりも、これならみんなが注目して「いいね」してくれるはず。という心理が該当する。
ブランド志向だったり、名誉欲が強いので、会員ランク制度があれば、嬉々として「オレってプラチナ会員だからさぁ」というオーラがにじみ出てくるはず。
承認欲求との最も大きな違いは、他人が自分のことをどう思おうが気にしないことである。
いかがでしたでしょうか。
実はいろいろな欲求が交錯し、求めるものや性格が少しずつ違うということが伝われば幸いです。
(※わかりやすさを優先し、極端な記述も多分にありますが、そこはご容赦ください)
ユーザーの心理をより正確に理解するためにも、この16の基本的欲求を活用し
何を求めているか、どういう施策ならウケるかを考える時に思い出してくれればと。